本年5月末をもって廃業した東京最古級の木造銭湯、目白台「月の湯」。
消えゆく地域のかけがえの無い文化資源、貴重な歴史、物語の数々…多くの方々に愛されて止まない「月の湯」の記憶を少しでも残せればと連日奮闘中です。
私たち文京建築会ユースでは、今回も見学会や活用提案を通して、多くの皆さまに沢山のご支援を頂き、様々な想いに触れました。
数値やお金では測れない価値や想いをどのように形にし、共有しうるものに出来るのか…深く考えさせられた次第です。
様々な可能性を持ちながらも「月の湯」もまたこの地域から、そして私たちの記憶から消えようとしています。
現在開催中の文京シビックセンター「まちつぎ|まちの物語をつなぎとめる」展にて、来週にも解体の危機にある「月の湯」から運び出した貴重な品々を展示しております。
昭和初期の見事な建具から、銭湯ならではの小物、価値のある物では無いけれど常連客の物語の詰まったベンチ…。
こんなにも多くの要素で空間が成り立ち、それぞれにそれぞれの想いや記憶が詰まっていると思うと大変感慨深いものです。
私たちが現在避難させているのは「月の湯」のほんの一部。
震災も戦災も免れた「月の湯」には、今では手に入らない建材や職人技の光るタイル絵や建具、東京の銭湯を象徴する富士の絵や地域の歴史が刻まれた品々が、まだまだ沢山存在しています。
もちろん、パーツだけでは「月の湯」の持つ魅力や価値は再現出来ず、空間として存在しているからこそ価値があるともいえます。しかしながら、放っておくとそれらの多くは綺麗さっぱり消え去って、思い出すことさえ困難になります。
なんとかそれらの断片だけでも次の可能性につなげるべく、そしてそこにまつわる様々な歴史や想い、物語が少しでも良い形で引き継がれるよう、現在移築の可能性も含め、部材や備品の保管場所や保管作業のご協力を緊急募集しております。
お心当たりのある方はお声がけ頂けますと幸いです。